2020年上半期を振り返って

毎年毎年この時期になるともう今年も半分終わりか、と言うのが当たり前になってきてる。実際1〜6月の方が7〜12月よりもあっという間に感じませんか?僕だけかもしれませんが、単純に年度の前後で新しい生活や人との出会い、そのための準備に労力を割いているからとかですかね。

 

とはいっても僕にとって年度が変わってからはただずっと家で勉強して合間に音楽やゲームをやる日々になっただけで、特に準備することもなければ短期的な気を揉むようなこともないし、いつもの新歓だとか就活だとかのような忙しさは全くない。卒業間際のイベントの熱量が大きかったから、といったところでしょうか。というのも、両サークルの最後のイベントが終わった瞬間に時が止まってまるで嘘の世界に生きているような感じがしていて、ずっと家にいて人と直接会わない環境がそれを助長し4月からつい最近まではまるで意識がないまま生活しているような感覚だったというところです。

最近ようやく、以前ほどの外出は控えつつもちょくちょく友達と会うようになってきて、止まっていた時間が少しずつ動き始めたように感じます。追いコン以来弾いていなかった、僕の相棒であるギターをやっと回収できたのもあってなんだかやっと秋葉龍が誰だったかを思い出してきました。

 

 

 

話が変わりますが年度が変わってからちょっと僕自身にとって変わったなと感じることが一つあって、それがこのブログを始めたきっかけでもある考える、ということを以前よりなんとなくできるようになったということです。といってもまだ家での今までと同じ生活が日常の80%なのでそこまで多くの場面ではありませんが・・・

飲み会や遊ぶ時間が減ったからできたんだと思うけれど、最近頑張っている宅録の音作りや録音、演奏自体だけでなく趣味のスマブラ、麻雀も上手い人の動画をYouTubeで見たりネットで調べたりするようになった。そしてそれを鵜呑みにするだけでなく自分のプレイの何が悪くて何が良いのか、100%結果に反映はできなくてもプレイが終わってから、そしてプレイ中も考える能力がなんとなく身についてきた気がします。これは当たり前のことだけど、今までの自分はそれすらできてなかったと思うと今までの時間がもったいなく感じますがそれはしょうがない。

もちろんそれは今やっている資格の勉強にも言えることで、勉強、趣味において考えることができるようになってから一つ見えてきたのが、僕は習うにも慣れるにも人一倍時間が必要であるということ。これはもう考える考えないの領域を超えていて、生まれ持ったスペックだと思う。いくら考えることができるようになってきても結果に現れるのがかなり遅い。つまり要領が悪い。僕のポンコツぶりを大学で弄り倒されてたときから薄々感じてはいたけど、いざはっきり自分で認識すると辛いものがある。「自分は父親に似ている」と昔から思い続けてきたが、父は多少の苦手分野はあるけれど要領がいい人間だと思う。仕事に関しては経験や知識がものを言っているところも多いんだろうけれど、それだけではないように見える。父のことは僕は好きではないがそういうところは凄いと思うし、自分とは違うと感じた。昔から僕の要領の悪いところには悪口を言われてきたがこの差は何が原因なんだろう、やはり先天的なものなのか。外出自粛で物理的な距離は近くなっているのに心理的にはどんどん遠くなっている気がします。

 

とあまり精神的に元気じゃなくなっているように見えるけどそれほどでもありません。前に言った気がするけどいわゆる「病む」ことが多い人ってそれほど色んなことが気にかかるし、悲観的とはいえ自分にとって懸念すべきことをしっかり捉えられているしある意味すごいと思う。僕は圧倒的楽観主義人間できたけど自分にはないものをそういう人たちは持ってると思う。

 

話を戻すとそんな要領の悪い自分でも音楽は一応自分の今までの人生の中では一番力を入れてきた分野なわけで、器用ド貧乏ではあるが色んな楽器を扱うことは一応できる。僕が全く大学で学ばなかった経済学でも数少ない覚えている用語で「比較優位」というものがある。たまたま知っている言葉を得意げに言うなと言われそうですが、人よりは劣っていても自分の中では最も高いパフォーマンスを発揮できる分野に力を入れるっていうような話です。僕が今活発に宅録してどんなに伸びなくてもめげずに作りたいと思い続けられるのはそれのおかげかもしれません。

音楽への情熱といえば以前こんなことを聞かれたことがあった。「自信を持って生きているように見えるがけど、(嫌味とかではなく)その自信はどんなところから来ているの?」って質問だったかな。迷わず僕は「自分の作る音楽、愛する音楽に誇りを持っているから」と答えました。音楽で食っているわけでは全く無いけれど、僕の人生にハッシュタグをつけるとすればまず最初に音楽が来るだろう。ならばそれが自分の心の拠り所であればよい。全てを上手くこなせなくても譲れない1つがあればよい。自信があると言ってももちろん、こいつには敵わん、とか自分には作れん、という音楽は大量にあるし、というかそういう人や音楽がほとんどである。それに自分の作っている曲は一般受けはしないようなものだし自己満足かもしれない。けれど僕は自分が作った楽曲に関しては100%自信を持って傑作だと言える。10,000人に「お、いいねこれ」と思わせられなくても世界中の誰か1人を「こいつはすごい」と唸らせられるようなものは作れると思っている。自分だけにしかできないと胸を張って言えるこだわりがある。そしてこれも競うものではないが音楽への愛は揺るぎないものであり誰にも負けないとも思っている。要領の悪い人間でも悪いなりにがむしゃらに、その自信でもって今後も一生音楽を作り続けたいと思います。そろそろオリジナル曲録音でもしようかな。

 

 

 

 

とまあ真面目に内省をするだけで終わるのももったいないので、せっかくこの上半期を振り返るならこの上半期で出会って感動したアルバムでも紹介しようかと思います。

 

1.Of Queues And Cures (National Health)

f:id:dixie_gypsy:20200624220929j:plain

こういうちょいグロ、ちょい悪趣味系のジャケってプログレならではな気がする。散々これのことTwitterで言ったけどもっと早く買えばよかった。知っている人ならもう当たり前に知っているバンドだが解散したHatfield And The NorthとGilgameshカンタベリー界の偉大な2バンドが合体して生まれたバンドだ。でもやっぱりその2バンドとは全然違う印象を受けるのはエレピもオルガンもシンセも全部あるという点だろうか。あとギタリストとしてはフィルミラーのファズギターがかつてないほど全面に出ているからだろうか。アヴァンギャルド要素が少なくて構成も5大プログレのような組曲形式が多いからだろうか。そういう分析はおいておいて、とにかくカッコいい。カッコいい、という形容詞が似合うカンタベリーも珍しいだろうか。ギターもベースもオルガンもファズで暴れまくるというシーンが有ったかと思うと管楽器やクリーンのオルガンが綺麗に聴かせるシーンもあるという緊張感が良い。1stの方が多分有名だけど僕はこっちのほうが好きかもしれない。

 

2.Weißes Gold (Stern Combo Meißen)

f:id:dixie_gypsy:20200624222723j:plain

プログレの数多のサブジャンルの中で異色を放つドイツのクラウト・ロックというものがある。ミニマル・ミュージック寄りでテクノの源流とも言えるような電子楽器の活躍するジャンルである。けれど僕はどうしてもこのジャンルが今でも好きになれず、Tangerine DreamやPopol Vuhも、プログレやドイツにとどまらず名を馳せるCanやKraftwerkもどうも好きになれない。ロック色があまりに消えているから?前衛的すぎるから?いまでもよくわからないが、辛抱して聴いてたらいつしか大好きな作品になっていることを祈って時々聴いてみるか。話をこのアルバムに戻すとこのバンド、ドイツの70年代後半ころから活躍しているプログレバンドだが、いわゆるクラウトロックではない。Triumviratなどにも似た「ELP系」と言われるキーボードトリオ系のジャーマン・シンフォだ。このバンドはキーボードもドラムも2人ずついてトリオではないが。ギターレスのバンドだと逆に表現の幅が広がるように感じるのはギタリストとしてはどうなんだろうかと思うが、主にクラシックやジャズにかなり近いところまでロックを寄せられると思う。クラウトは好きじゃないけどジャーマンシンフォは大好きだなあ。このアルバムは70年代末期というのもあってか少しポップな感じもあるが、僕にとっては数あるポップ化してしまったプログレバンドに比較したらかなりいい塩梅のポップ加減だと思う。ダイナミックでわかりやすくかっこいいクラシックが好きな人なら刺さるかも。

 

3.Band Of Gypsys (Jimi Hendrix)

f:id:dixie_gypsy:20200624225253j:plain

ジミヘンはそれはもう僕がこの年代のロックにハマってGoogleで「ブルースロック 名盤」とか「ハードロック 名盤」とかを調べてはTSUTAYAで借りたりユニオンで買ったりを繰り返していた頃から聴いていたが、And Experience時代の3枚とモンタレー、ウッドストックのライブ盤と1枚のコンピ盤しか聴いていなかった。一般的な評価が高い3枚だったからだ。というバンドは結構ある気がする。世間的に評価が高いアルバムとライブ盤だけ聴いてその前後は聴いていないというもったいないバンドが他にもいくつかある気がする。この盤のなかではMachine Gunだけは知っていた。ベトナム戦争のことを歌い、ギターが悲鳴を上げドラムが銃声を鳴らし、ユニヴァイブが鬱蒼とした密林を描くまるで映画でも見ているようなライブ映像を見たことがあった。そういった戦争が映画でなく現実に起こっているからこそ彼らは演奏していたわけだが。このバンドはリズム隊の影響もありファンク寄りとも言われていて実際にエクスペリエンス時代のサイケ・ブルース感はたまたR&B由来のバラード感は薄れているが、変わらずヘンドリックスの音、フレーズ、世界観がそこにあるっていうのが世界最高と評される理由なんじゃないかと思う。このバンドでの演奏もっと聴きたかったしマイルス・デイヴィスとのコラボも聴きたかったな

 

4.Country Music's 2 Guitar Greats Merle Travis & Joe Maphis (Merle Travis & Joe Maphis)

f:id:dixie_gypsy:20200624230347j:plain

 だいぶ前に代官山TSUTAYAで旧作10枚1000円セール時に数合わせという微妙な理由で借りたものの全く聴かずにいたアルバム。借りた当時もこの2人のビッグネームは知っていたがこの2人カントリー仲間とはいえ違うタイプじゃん・・・そう思って全く聴いていなかったのを後悔した。マールはチェット・アトキンスが多く学んだというギャロッピングのソロギターをよく弾く人でジョーはブルーグラス系のマンドリンもヴァイオリンもコンバスバンジョーもありえないレベルの速弾きができる人。パクりたくなるフレーズがたくさんのギタリスト向けなアルバムだけど残念なのは、サウンドと曲調がアルバムを通してあまり変化がないこと。のんびりとした雰囲気を味わいたいイージーリスニング的な聴き方もいいかも。

 

5.Sweet Georgia Peach(Russell Malone)

f:id:dixie_gypsy:20200624233338j:plain

普段家で宅録している曲も色んなジャンルをやっているけどジャズはやっていない。フュージョンのコピーならしたけど。ジャズは宅録するよりセッションのほうが楽しそうだし、アドリブで録っても良いのが録れる自信がない。そのせいかジャズから離れてしまっていてジャズ研を引退してからあまりジャズをdigってなかった。これはまだ聴いてた3月とかに見つけたやつかな。僕が好きなジャズってコンテンの中でも少しプログレッシブな雰囲気を感じさせるorキメがかっこいいやつと、正統派なバップで良いメロディを奏でるやつっていう結構両極端な感じがする。このアルバムは後者で本当にストレートなジャズをやってる感じがして、ジャズ研に入って初めてバップというものにまともに触れた頃を思い出した。ギターの音もこういう、メロウすぎないけど温かみのあるフルアコサウンドっていうところが僕好みなのかもしれない。これを書くために情報を調べてたらなんとロン・カーターやケニー・バロンが弾いてるらしい。そりゃいいアルバムなわけだ

 

番外編.The Rotters' Club (Hatfield And The North)

f:id:dixie_gypsy:20200624231416j:plain

最近口を開けばHatfield And The Northだし今更語るには遅い大傑作だけどもどうしてもこれが入れたかった。こんな大名盤は前から知っていたし好きだったが、それが年月をかけてどんどんどんどん良さが染みるように伝わってきて、聴けば聴くほどスルメのように美味しさが感じられてというのがここ半年で起こったというわけだ。浪人の頃友達にもらって最初に聴いた頃はアヴァンギャルド感のせいか、あとエレクトリックジャズ耐性がそこまでなかったせいかあまり好きではなかったが我慢して聴くうちに好きになっていったタイプだ。半年くらい聴いてたら好きになってて、4年経った今では私を構成する9枚に入れるレベルだ。このバンドを好きな人が軽音にいたのが驚きだったし、ぜひ軽音もジャズ研も、その他の僕の知り合いの方々にも聴いてもらいたい1枚だ。非の打ち所がない。インプロヴィゼーション合戦の大曲や展開の読めないジャズ・ロックと言ったプログレッシャー向けの曲もあるが、どこか哀愁のある歌ものやカフェで流れそうなおしゃれエレピ、限りなく美しいメロディに軽快なジョークが効いた曲、聴いたら時間を忘れること間違いなし。僕のようにある程度熟成期間が必要な人もいると思うがピンとくる人は一発でのめり込めると思う。

 

 

 

 

という感じで久方ぶりの記事なもんでかなり長くなってしまった。言いたいことを詰め込んでいたから支離滅裂かもしれない。